テニス肘は正式には「上腕骨外側上顆炎」と呼ばれ、肘の外側にある上腕骨外側上顆という骨の突起部分に炎症が起こる疾患です。テニス愛好家に多いことからこの名がついていますが、実際にはテニス以外のスポーツや日常生活での動作でも発症します。
良くある症状
1、肘の外側部の痛み
テニス肘の最も典型的な症状は、肘の外側、特に上腕骨外側上顆周辺の痛みです。初期段階では、物を持ち上げる、ドアノブを回す、タオルを絞るなど、手首を反らせる動作や肘を伸ばす動作をした際に痛みを感じることが多いです。進行すると、安静時や夜間にも痛みを感じるようになり、日常生活に支障をきたすことがあります。痛みは、鋭い痛み、鈍い痛み、ズキズキする痛みなど、人によって表現が異なります。また、痛みの程度も個人差が大きく、軽い痛みを感じる程度の人もいれば、激しい痛みで日常生活動作が困難になる人もいます。痛む場所は、肘の外側の骨の出っ張り付近で、そこを押すと痛みが強くなる圧痛がみられることもあります。
2、手首を反らせる動作での痛み
テニス肘は、手首を反らせる動作で痛みが生じることが特徴です。これは、上腕骨外側上顆に付着する筋肉が、手首を反らせる動作に関与しているためです。例えば、手のひらを下にして物を持ち上げる動作や、ドアノブを回す動作、タオルを絞る動作などで痛みを感じます。また、キーボードやマウスの操作、包丁を使う動作など、日常生活の様々な場面で痛みを感じることがあります。痛みの程度は、動作の負荷や反復回数によって異なり、軽い負荷では痛みを感じなくても、重い物を持ち上げたり、反復動作を繰り返したりすると痛みが増強することがあります。
3、物を握る動作での痛み
テニス肘では、物を握る動作でも痛みを感じることがあります。これは、上腕骨外側上顆に付着する筋肉が、握力にも関与しているためです。例えば、ペットボトルの蓋を開ける、ドアノブを握る、重い物を持ち上げるなどの動作で痛みを感じます。また、ペンを握って字を書く、箸を使うなどの動作でも痛みを感じることがあります。痛みの程度は、握る力の強さや反復回数によって異なり、軽い力で握る動作では痛みを感じなくても、強い力で握ったり、反復動作を繰り返したりすると痛みが増強することがあります。
4、肘から前腕部にかけての痛みやシビレ
テニス肘の痛みは、肘の外側だけでなく、前腕にかけて広がることもあります。これは、上腕骨外側上顆に付着する筋肉の炎症が、周囲の組織に波及するためです。また、神経が圧迫されることで、前腕や手首、指先にかけてしびれを感じることもあります。しびれの範囲や程度は、個人差が大きく、軽いしびれを感じる程度の人もいれば、広範囲にしびれを感じる人もいます。しびれは、安静にすると軽減することが多いですが、動作によって悪化することがあります。
5、肘の動きの制限
テニス肘の痛みや可動域制限によって、日常生活の様々な動作が制限されることがあります。例えば、服を着替える、髪を洗う、食事をする、掃除をするなどの動作が困難になることがあります。また、スポーツや仕事など、趣味や社会活動にも影響を与えることがあります。日常生活動作の制限は、精神的なストレスにもつながることがあり、早期の診断と適切な治療が重要です。