良くある症状
1、指の付け根の痛みと腫れ
ばね指の初期症状として最も一般的なのは、指の付け根付近の痛みと腫れです。これは、腱鞘と呼ばれる腱を包むトンネル状の組織が炎症を起こし、腱との摩擦が大きくなるために起こります。痛みは、指を曲げ伸ばしする際に特に強く感じることが多く、安静時には軽減することが一般的です。腫れは、指の付け根付近がわずかに膨らむ程度のものから、明らかに腫れていることがわかるものまで様々です。腫れは、触ると熱を持っているように感じることがあります。これらの症状は、日常生活での指の使用頻度が高いほど悪化しやすく、特に朝起きた時に症状が強く現れることが多いです。また、特定の指に負担がかかるような作業を繰り返すことで、症状が悪化することもあります。
2、指の引っ掛かり感とばね現象
ばね指の進行に伴い、指の曲げ伸ばしをする際に引っかかり感やばね現象が現れるようになります。これは、炎症によって腱が肥厚し、腱鞘との間でスムーズな動きができなくなるために起こります。指を曲げようとすると、途中で引っかかり、無理に力を加えると急に「カクン」と伸びる、あるいはその逆の動きが起こります。この現象は、あたかもばねが引っかかって外れるような動きであるため、「ばね指」と呼ばれています。引っかかり感やばね現象は、初期には軽い症状として現れますが、進行すると日常生活に支障をきたすほどの強い症状となることがあります。特に、細かい作業や力を要する作業を行う際に、これらの症状が強く現れることが多いです。
3、指の動きの制限とこわばり
ばね指が進行すると、指の可動域が制限され、指がこわばることがあります。これは、炎症によって腱や腱鞘の柔軟性が失われ、指の動きが制限されるために起こります。特に、朝起きた時や長時間指を使用した後には、指がこわばって動きにくくなることがあります。可動域制限は、日常生活での様々な動作に影響を与え、例えば、物を掴む、ドアノブを回す、ボタンをかけるなどの動作が困難になることがあります。また、指のこわばりは、指の感覚を鈍らせることがあり、細かい作業を行う際に支障をきたすことがあります。
4、指の付け根の圧痛
ばね指では、指の付け根付近を押すと痛みを感じることがあります。これは、炎症が起きている腱鞘が圧迫されるために起こります。圧痛は、ばね指の診断において重要な所見の一つであり、痛みの程度や範囲を把握するために用いられます。また、圧痛の有無や程度は、治療の効果を判定する際にも役立ちます。圧痛は、指の付け根付近だけでなく、指の他の部分にも現れることがありますが、特に指の付け根付近に強い圧痛が見られることが多いです。
5、夜間痛と睡眠障害
ばね指の症状が進行すると、夜間に痛みを感じることがあります。これは、日中の指の使用によって炎症が悪化し、夜間に安静にしている際に痛みを感じやすくなるためです。夜間痛は、睡眠を妨げる原因となり、睡眠不足による疲労感やストレスを引き起こすことがあります。また、夜間痛によって睡眠の質が低下すると、日中の活動にも悪影響を及ぼすことがあります。夜間痛は、ばね指の重症度を示す指標の一つであり、夜間痛が現れる場合には、早期の診断と適切な治療が必要です。